ハゲリーマン

ハゲが進行する|育毛ハゲタカ記

 

そして、ハゲリーマンとなり数年が経ち、私は20代後半になりました。

 

仕事はそれなりに順調で、主任の役に就いています。

 

そして、悩みの頭の方は……こちらも順調に進行が進んでいました。

 

市販薬対私の戦いは年月を重ねるごとに押されていき、最終的に結果は惨敗だったようです。

 

唯一の息抜きの場である「髪ングアウト同好会」でも、いつしか

 

「ますますハゲに磨きがかかって来たんじゃない?」

 

と言われるほどになっていました。

 

もちろん、誰かに言われなくともそんな事は自分でも気付いています。

 

風呂の時間にそっと優しくシャンプーをしているはずなのに、流れていく毛の量が増えていること。

 

抜けたっていいんです。それに追いつくくらい生えてくれれば。

 

抜け毛のスピード

 

しかし、私の場合は明らかに抜けていくスピードが速く、一晩寝るごとに地肌面積が広くなっていくような気さえします。

 

後頭部だけが危険だと思っていた学生時代とは違い、今では生え際が明らかに後退してしまっているのです。

 

ストレスは薄毛には大敵。

 

インターネットや本で検索すると大体書いてあるものですが、気にするなという方が無理な話。

 

気にすれば気にするほど毛が抜けていってしまうようなアリジゴク的思想。

 

このままでは本当にヤバい、そう感じた私は、これまでのシャンプーやドラッグストアで購入した育毛剤などのハゲ対策に加え、生活改善も試み始めました。

 

食事は出来るだけ栄養バランスの良いものを選び、夜更かししたいところをぐっと我慢し早寝早起きの生活を心がけます。

 

髪や頭皮を陽に当てないよう出来るだけ日陰を選んで歩き、イソフラボンがいいと言われれば豆乳を買って飲みます。

 

更には運動不足解消の為に、一駅前で電車を降り会社まで歩いていくようになりました。

 

 

また、タバコは元々吸わないので良いのですが、唯一お酒だけは無理でした。

 

が、ここは都合よくストレス発散の為だと割り切ります。

 

こうして尽力しましたが、それでも私の髪は改善の兆候すら見られず、日に日にハゲが加速していってしまったのです。

 

ハゲは肩身が狭い

 

ハゲで辛いのは、こんな日常の制約や努力だけではありません。

 

周りが気を使っているのが明らかに分かる瞬間もあり、そういう時はもう居たたまれない気持ちになるのです。

 

私と歩いている時に強い風が吹いた時、明らかに視線を外している取引先の相手を見た瞬間や、会社で昼飯を食べている時、食堂のテレビの話題がハゲやカツラの話だった時にあからさまに違う話
題を振られたり……。

 

ハゲが進行する|育毛ハゲタカ記

 

こうなってくると、私も皆と同じ人間のはずなのですが、ハゲているだけで周囲に迷惑にすらなっているのでは……とまた悩んでしまいます。

 

私がこうして気にしているのは事実ですので、気遣いは周りの優しさだということは分かっているのですが、自分からネタにする勇気や度胸は無いのも事実。

 

過去には会社の仲間でバーベキューに行く計画があったらしいのですが、それに誘われなかったことがあり、もしかして炎天下の中だから気を使われたのか?と思ったこともありました。

 

(後日、既婚者同士の交流会だと知りましたが……)

 

 

また、実際に自分がこうして悩むようになってからは、案外ハゲで困っている人間は多いのだと知りました。

 

ですが、それでも社内の似たような相手に仲間ですね、なんて自分から声はやはりかけられません。

 

共通の何かがあると大抵の場合話が盛り上がるものですが、ハゲに関してだけは別だと思います。

 

これは私が考えた持論ですが、一言でハゲと言ってもその種類は様々です。

 

誰もが自分のハゲの傾向と対策を考え、他者に対しては自分と比較してどうだという結論を持っているように感じるのです。

 

あの人よりはまだ大丈夫、あの位なら悩むほどでもないな。

 

そんなことを常に考えていますので、ハゲ同士介入してはいけないというか、100人いたら100通りのハゲがいるのだから余計なおせっかいだというか……そうして今日も一人で悩むことになるのです。

 

 

その点では、私には立派なハゲ仲間がいますので、あの日ツイッターの誘いに勇気を振り絞ったことは心から正解でした。

 

先日の定例会ではなんとハゲ割があるという居酒屋に連れていかれ、しっかりと割引してもらった次第です。

 

カツラ部長のハゲ疑惑

 

さて、そんな私が会社設立20周年の社員旅行へ行くことになりました。

 

これまでの周年記念は立食パーティーだったのですが、なにせ20周年。

 

でっかく温泉旅行に行こうという計画が進み、私ももちろん強制参加です。

 

正直、乗り気ではありませんでした。

 

ハゲの人間は大体そうではないでしょうか?

 

温泉旅行と言えば、温泉にゆっくりとつかった後の宴会が基本。

 

温泉につかるということは、当然髪を濡らすことになります。

 

ハゲていない人間はあまり気付かない事でしょうが、普通の毛量の人間でも濡らせばぺたんとボリュームが減りますよね。

 

ハゲのボリュームダウンの衝撃はそれ以上なのです。

 

地肌は丸見え、まさに私のニックネーム「ハゲタカ」そのものとなります。

 

という訳で、私は嫌々参加をしたのですが、実は私なんかよりもこの旅行で注目を浴びている人間がいたのです。

 

それが隣の部署の松山部長でした。

 

ハゲが進行する|育毛ハゲタカ記

 

部長には前々からカツラ疑惑があり、今回の旅行には参加しないのではないかと思われていたほどです。

 

その部長が旅行に来ることになったものですから、周りが興味津々なのは当然。

 

ちなみに、すっかり薄毛についての知識がついている私は部長の髪はカツラで確定だと分かっていたので、果たして着脱式なのか、バレない様な連続装着式なのかと全く違う分野で気にしていました。

 

ハゲが進行したこの状況でもカツラに対する抵抗感がぬぐえなかったのは、この部長の不自然さを見ていたからかもしれません。

 

観光バスが旅館へと到着し、いざ温泉へ入る時間が近づいてきました。

 

私は皆と少し時間をずらし、わざとらしいとは分かっていましたが頭にタオルを乗せたまま部屋へと戻ると一度ドライヤーで乾かしセットをし直してから宴会場へと向かいます。

 

ここでの整髪料も結構大切で、つけすぎると毛が濡れたようになり、ハゲを目立たせてしまいます。

 

出来るだけ自然の流れに逆らわないよう、ソフトタイプのワックスをでそっとカバーをするのが私の定番となっていました。

 

宴会場には昼間と同じヘアスタイルのままの松山部長がいます。

 

これで部長がは着脱式のカツラを使用していることが分かりました。

 

もし、連続装着式であったのなら濡らしても問題無いはずなので、あえてセットしなおすことはしないでしょう。

 

ええ、もし私だったらそうしますから。

 

お酒が入ったこともあってひそひそと松山部長の噂話も聞かれましたが、私は自分に視線が集まりにくかったことにほっとしつつ、次は我が身だと気を引き締めるのでした。

 

子供は残酷>>