ハゲでも結婚できた|育毛ハゲタカ記

ハゲでも結婚できた

ハゲでも結婚できた|育毛ハゲタカ記

それからも、私と荻野さんは2週間に一度くらいのペースで、主に金曜の夜にお酒を飲みにいきました。

 

須賀の事が気にならないと言ったら嘘になりますが、再び二人きりで会った時のほっとした表情を見て私は確信します。

 

彼女は穏やかな方が好きなのだと。

 

穏やかさなら私が負けるはずがありません。

 

 

そして、一度だけ聞きました。

 

「荻野さんはとてもきれいな方なので、私と歩いていて周りの目とか気になりませんか?」

 

そんな私にきょとんとしながら、

 

「そんな事は考えたこともありませんでした」

 

「でも、正直ハゲてますしね」

 

ハゲてます

これが初めて彼女の前で髪についてふった話題です。

 

荻野さんは優しいから、自分から私の頭髪について何か言うことはありません。

 

それだけに、無理をして気を遣わせていたらと不安だったのです。

 

思い切って聞いた私に荻野さんは言いました。

 

「私、ここに大きなほくろがあるじゃないですか」

 

指さした先は口元のほくろ。

 

「これがすっごくコンプレックスなんですけど、小野主任はどう思いますか?」

 

確かに人よりは大きいと思いますが、それすら可愛いと思っていた私ですから、

 

「コンプレックスだなんて。私はチャームポイントとして見ていましたよ」

 

とフォローをした私の瞳を荻野さんはまっすぐに見つめます。

 

「よかった。私も同じ気持ちです」

 

「と言うと?」

 

「小野主任は気にしているかもしれないけれど、こうして一緒に食事をする時間が楽しいので私は周りの目なんて意識したこともないってことです」

 

「荻野さん……」

 

こんな女神みたいな心を持った人がいるなんて。

 

もう私は彼女を絶対に手放したくはありませんでした。

 

 

 

そしてその日の帰り道。思い切って告白をします。

 

「荻野さん、私と付き合ってもらえませんか?」

 

「……はい」

 

結果はまさかのOK。

 

なんでもやってみるものだと思いました。
ハゲで小心者の私がこんなに素敵な彼女を手に入れたのです。

 

 

 

私と荻野さんが付き合い始めたことはあっという間に社内へ知れ渡りました。

 

広めたのは須賀です。

 

 

ハゲでも結婚できた|育毛ハゲタカ記

 

少し前に彼女に誘いをかけたところ、私と付き合うから……そう断られ、悔しさのあまり周りにバラすという手段に出たという流れでした。

 

私と付き合っているのが知れたら、中には恥ずかしくて別れる女性もいるかもしれません。
しかし彼女は違います。

 

驚愕する面々に私の純粋な心が好きなのだと恥ずかしげもなく言ってくれる彼女。

 

そんな彼女を今後守っていく為にも私自身堂々としていようと決めました。

 

むしろ全国のハゲにエールを送りたいくらいです。

 

こんな私でも彼女のような美しい人とお付き合いすることが出来ました。

 

少々の薄毛や、見た目のコンプレックスなんて大したことではないのです。

 

 

それから2年の付き合いを経て、私はいよいよ彼女に求婚しました。

 

「待ってたから嬉しい」

 

なんて言われ、私はそのまま天に昇ってしまうかと思いました

 

この2年間の間も育毛剤との付き合いは続けましたが、彼女の両親と会う時もマシにはなってきていたものの薄毛に違いはありません。

 

ハゲでも結婚できた|育毛ハゲタカ記

 

おっさんを連れてきたと思われたら嫌だなあと思いながらもご挨拶をし、年齢には多少驚かれながらも結婚の許可を頂きます。

 

私のような男に大切な彼女を預けてくれたこの日の事はきっと一生忘れないでしょう。

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